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【徹底考察】錦織圭はグランドスラム優勝できるか。【長文注意】

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これまで日本テニス界は松岡修造さんが1998年30歳の若さで引退してから長きに渡りTOP100プレーヤーを輩出することができませんでした。松岡修造さんはウインブルドンベスト8、韓国オープン優勝など輝かしい成績を収められましたが、私がテニスを始めた頃は鈴木貴男選手が日本のエースでグランドスラムの予選から勝ち上がることはありましたが本戦で勝利を上げたのは2勝のみです。そのうち1勝は全豪で挙げたもので2Rでフェデラーと対戦しサーブ&ボレーのプレースタイルを世界にアピールしました。しかしその鈴木貴男選手でもATP最高ランキングは102位でした。

それどころか松岡修造引退以後20年間でグランドスラム本戦に出場した選手は
辻野隆三(94年全豪)
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鈴木貴男(99、01、05年全豪、99、03年全英99、04年全米)
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本村剛一(00年全豪)
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添田豪(07年全豪)
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の4名のみです。このことからいかに日本人にとってグランドスラム本戦のハードルが高かったのかは言うまでもないでしょう。

【錦織圭の登場】

その日本テニス界に2008年デルレイビーチ国際で予選から勝ち上がり当時世界11位のジェームス・ブレークを倒し優勝したのが当時18歳の錦織圭です。当時優勝したときはあまりわかりませんでしたが今考えるとその異常さがよくわかります。ブレークを破ったのはもちろん彼は『グランドスラムの本戦に出場するよりもツアー優勝のほうがはやく、グランドスラムの予選にも直前の全米で一度出場しただけでした。』これはツアーの方式上フューチャーズ、チャレンジャーでポイントを稼ぎ、徐々にランキングを上げ約300位以内に入ることによってグランドスラムの予選に入ることができるのですが、錦織の場合ジュニアからの移行で自分の実力に見合うランキングに上がるまでにツアーの予選から勝ち上がったのでこのようなことが起きました。

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同年のウインブルドンで本戦初出場を果たしその後グランドスラム28大会出場、55勝をあげています(2016年7月時点)。先程の20年間の記録と照らし合わせると錦織がいかに傑出した存在であるかがわかると思います。

そして錦織圭は全米オープンの準決勝での世界ランク1位のジョコビッチを破り決勝に進出しました

決勝では惜しくもチリッチに敗れはしましたが十分にグランドスラムで優勝する可能性があることを印象付けたのではないでしょうか。

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しかしそれ以後7大会でQFが3回、4Rが2回という結果になっています。このような結果になっている原因を考えてみます。




【錦織圭の弱点と傾向】

錦織の身長は現在TOP10内にいる選手では最小の178cmです。170cm代のTOP10プレーヤーは以前の選手を合わせてもダビド・フェレールやギレルモ・コリアぐらいしか見当たりません。この身長のデメリットはもちろんサーブですがこれが一番影響するのがウインブルドンです。サーブで得点が決まる割合が一番高い大会ですが錦織はサーブの得点に占める割合が少ないためストロークで勝負せざるをえません。よって試合時間も長くなります。このことから他の選手よりも体の負担が多くなりウインブルドンでは最多の3回の棄権をしており成績も全豪の20勝の半分の10勝にとどまっています。これはクレーコートシーズンからマドリード、バルセロナ、全仏、AEGON、ウインブルドンと続く連戦のためでもあり途中の大会で棄権したことも複数あります。よってウインブルドンは優勝できる確率が低いと思います。
逆に1番優勝する確率が高いと考えられるのが全豪オープンです。これまで3度のベスト8、2016年現在20勝を記録しています。これは年度初めの大きな大会であること、前哨戦がクーヨンクラシックという負担が軽めのエキシビションであることなどが原因でしょう。これは錦織最大の敵である怪我を防ぐことができるます。また今のグランドスラムのハードコート(全豪、全米)はデコターフというスローハードと呼ばれる種類の遅いハードが使われています。これもサーブが活きるコートで体に負担が少なく、ストロークで勝負する選手に優位に働きます。

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これらの特徴からか全豪はツォンガ(08準優勝)、ゴンザレス(07準優勝)、バグダディス(06準優勝)、ヨハンソン(02優勝)、クレマン(01準優勝)などTOP20に入れていない選手が躍進する大会でもあります。
しかし今まで錦織の最高成績はなんといっても全米オープン準優勝です。この準優勝には明らかに過去のグランドスラムとは違うところがありました。前哨戦のロジャーズ・カップとウエスタン・アンド・サザン・オープンを右足親指の嚢胞手術をしぶっつけ本番で臨んだのです。1Rのオデスニク戦ではまだ右足を引きずる仕草も見えました。しかし2Rアンドゥーハル戦、3Rマイヤー戦と徐々に調子を上げていきます。そして4Rラオニッチ戦、QFワウリンカ戦と続けてフルセット、SFではジョコビッチとの戦いを制しました。しかもまったくケガなく。
これは間違いなく前哨戦に出場しなかったことが関係していると思われます。疲労がない状態で大会に臨み試合感に不安はあったものの勝ち進む中で取り戻していったのです。
だったら前哨戦に出場せずグランドスラムに出ればいいと思うかもしれません。しかし…。

【ATPツアーの出場義務】

ATPツアーには前年トップ30内に入った選手に出場義務のある大会があります。
・ATPワールドツアー MS1000
優勝で1000ポイント年間9大会あり、ランキング上位の選手にはモンテカルロ・マスターズを除く8大会への出場義務があります。
・ATPワールドツアー MS500
優勝で500ポイント。日本で開催されている楽天ジャパンオープンなどがこの階級の大会です。年間約10大会あり、ランキング上位の選手には4大会への出場義務があります。
・ATPワールドツアー MS250
優勝で250ポイント。年間約40大会あり、ランキング上位の選手には2大会への出場義務があります。
これに加えグランドスラム4大会に出場義務があるため通常トップ選手は前哨戦から続けて出場しなければいけません。
ここでテニスをよく見ている人はフェデラー前大会スキップしなかったかな?と思うかもしれません。たしかにフェデラーはマスターズを年間数度スキップしています。それはマスターズ出場義務の免除を受けているためです。
マスターズ出場義務免除条件
(1)キャリア通算600試合以上
(2)年間12大会以上に出場した年から数えて通算12年以上プレー継続
(3)年齢が31歳以上

(1)~(3)までの3つの条件のうち、どれか1つでも満たしている選手は出場義務のあるマスターズ8大会のうち、1大会の出場義務が免除、2つの条件を満たせば2大会で免除、3つとも満たせば全ての大会で免除されます。

・3つ条件全てを満たしているトップ選手
フェデラー、フェレール、ロペス、ロブレド、コールシュライバー

・2つの条件を満たしているトップ選手
ナダル、ワウリンカ、ベルディヒ、ツォンガ、シモン

・1つの条件を満たしているトップ選手
ジョコビッチ、マレー

この3つの条件のうち錦織が1番近いのは(1)でしょうか。錦織は2016年7月現在411試合です。直近3年の平均試合数が60試合であるためあと3年と少しというところでしょうか。これを満たせば前哨戦をケガがなくても調整のためスキップできます。錦織圭は29歳になります。

【3年後のテニス界】

これを今の世界ランキング上位者と若手に当てはめてみると
1位 ノバク・ジョコビッチ 29歳→32歳
2位 アンディ・マレー 29歳→32歳
3位 ロジャー・フェデラー 35歳→38歳
4位 ラファエル・ナダル 30歳→33歳
5位 スタン・ワウリンカ 31歳→34歳
6位 錦織圭 26歳→29歳
7位 ミロシュ・ラオニッチ 25歳→28歳
8位 トーマス・ベルディヒ 31歳→34歳
9位 ドミニク・ティエム 22歳→25歳
10位 ジョーウィルフリード・ツォンガ 31歳→34歳
18位 ニック・キリオス 21歳→24歳
19位 バーナード・トミック 23歳→26歳
22位 ルーカス・プイユ 22歳→25歳
27位 アレクサンダー・ズベレフ 19歳→22歳
50位 イリ・ベセリー 22歳→25歳
53位 ボルナ・コリッチ 19歳→22歳
67位 テイラー・フリッツ 18歳→21歳

ジョコビッチが32歳になり今のフットワーク、フィジカルは維持できないでしょう。さすがにビック4の牙城は陥落するはずです。替わってラオニッチ、ティエム、キリオス、トミック、ズベレフ、ベセリー、コリッチなどはテニスが完成し錦織の脅威となるでしょう。しかし現時点でこの世代に若き日のフェデラー、ナダル、ジョコビッチのような圧倒的な存在はいません。

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これらのことから錦織圭グランドスラム優勝の条件は連戦にならない全豪オープンかグランドスラムの出場義務を免除できる条件を満たした上での大会がいいと思います。

ここまで錦織圭のグランドスラム優勝をいろいろな視点から考えてきましたが私個人としては錦織があと3年以内に優勝できると考えています。これには確かな確証があるわけではありませんが上の年齢的な分布、これまでの戦績と傾向を見てもこのクラスの選手で一回の優勝もないとは考えにくいからです。

 

【あとがき】

私は錦織圭のようなグランドスラムで優勝できるかどうかで思い巡らせられるような日本人が出てきたことをとても幸せに思っています。私の人生で日本人でそんなことができるプレーヤーはもう二度とでてこないかもしれません。私達にできるのは信じて全力で応援することのみです。がんばれ錦織圭。




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